参議院の「定数6増」法案が可決。 2019年の参議院議員選挙までに知っておくべきこと

参議院の「定数6増」法案が可決。2019年の参議院議員選挙までに知っておくべきこと

2018年7月の国会で,参議院の定数が6枠増える「公職選挙法改正案」が可決されました。参院選の仕組みと今回の改正ポイントについて解説していきます。

参議院の「定数6増」を定めた公職選挙法改正案が衆議院で可決。

平成30年7月18日の国会で,参議院の定数が6枠増える「公職選挙法改正案」が衆議院本会議で可決されました。この後,参議院で可決され,法案が成立する見通しです。

公職選挙法は,衆議院や参議院の議員定数や選挙区の分け方を定めています。公職選挙法は非常に重要な法律で,国会の在り方を左右するといっても過言ではありません。今回の参議院議員選挙の改正点にも触れながら,参議院議員選挙の仕組みについて解説していきたいと思います。

参議院議員選挙の大きな特徴「半数改選」

参議院議員選挙には,衆議院議員選挙やほかの議会選挙にはない大きな特徴があります。それは,「議会を半分に分けて選挙を行う」という点です。

参議院議員の任期は6年であり,他の政治家よりも長い任期に設定されています。ただし,参議院の選挙が行われるのは6年に1回ではありません。任期の半分で6年の半数ごとが改選されることにより,参議院選挙は3年に1回必ず行われることになっています。

衆議院と異なり,なぜ参議院では半数改選というシステムがとられているのでしょうか?参議院のホームページによると,「議院の継続性を保つとともに国会の機能の空白化を防ぐため」と説明されています。

(http://www.sangiin.go.jp/japanese/san60/s60_shiryou/senkyo.htm

3年に1回半数改選される参議院議員選挙と,解散の度に全議席が改選される衆議院議員選挙を合わせると,国政選挙は意外と頻繁に開催されていることが分かりますね。

参議院選挙に行くと,2種類の票が交付される

「選挙は1人1票」というイメージがありますが,実は参議院選挙や衆議院議員選挙といった国政選挙では,あなたが記入すべき票は1枚だけではありません。

国政選挙では「選挙区」と「比例代表」という2種類のシステムで議員を選ぶことになっています。国政選挙の会場に行くと,「選挙区」という選び方に対して1票,「比例代表」という選び方に対して1票を投じることになります。

「1人1票」という原則は守られつつも,2種類の票を投票することになるのです。「選挙区」と「比例代表」という選挙システムの在り方も,冒頭で述べた公職選挙法によって定められています。

「選挙区」の改正点は?

「選挙区」選挙では,投票用紙に「立候補者名」を記入し,あなたの住む地域から誰を参議院議員にするかを選ぶ投票方法です。そのため,あなたの住んでいる隣の選挙区の立候補者に投票することはできません。「選挙区」は,「原則として」都道府県ごとに分けられています。

「原則として」と述べたのは,2つの県を合わせて1つの「区」とみなす例外があるからです(県をまたいだ選挙区を「合区」といいます)。例外に当たるのは,鳥取県・島根県の「合区」、徳島県・高知県の「合区」です。「合区」を設けることは,平成27年(2015年)の公職選挙法改正で定められました。この時の改正の際は,「合区にすることで,地域の代表として選出される意義が薄れる」という批判もありました。

今回の「定数6増」の改正では,埼玉県の選挙区の定数が2人分増やされました。(半数改選なので,1度の選挙で増える定数は1)このように,選挙制度の改正の度に大きな影響を受ける地域があるのです。

「比例代表」の仕組みと改正点は?

参議院の「比例代表」選挙では,投票用紙に「①政党名」または「②個人名」を記入することになります。どちらかしか記入することができません。

支持する個人は特にいないけど支持する政党がある場合は,①のように政党名を書いて投票します。支持する個人が明確に決まっている場合は,②の個人名を記入します。ちなみに,比例代表での立候補者は必ずどこかの政党に所属することになっています。そのため,②の個人に投票する場合は,その個人が属する政党に投票したことにもなるのです。

参議院の比例代表の当選者は,基本的に次のようなステップで決まります。

Step1: 政党Aと記入された票数」と「②政党Aから立候補した候補者が獲得した票数」を合計した票数が,政党Aの得票数となる。

Step2: 他の政党との得票数の比較により,政党Aに配分される議席が決まる。

Step3: ②の個人名の票数が多い候補者から順に,政党Aからの当選者が決まる。

 

今回の参議院の比例代表選挙の改正のポイントは2点です。

  • 定数が4議席分増やされた:半数改選なので,1度の選挙で増える定数は2。今後,Step 2 で配分される議席数の合計が,100 + 2 = 102 となります。
  • 「特定枠」が設けられた:「特定枠」の制度ができたことにより,各政党は参議院選挙前で「特定枠」に登録する人を届け出ることになります。

特定枠に登録する候補者は各政党が自由に決めることができ,特定枠の候補者がStep3 では優先的に当選することになります。Step3で見たように,特定枠の制度ができる前は参議院の比例代表のすべての当選者は有権者の投票で決まっていました。ところが,特定枠の制度により,当選する人の一部を,各政党が自由に選び出せるようになるのです。

次の参議院議員選挙は2019年夏

次回の参議院議員選挙は,2019年夏に行われます。この選挙のときに,今回の選挙制度改正が新たに適用されます。

都市部と地方の人口の違いにより生じる1票の重みのちがい,すなわち「一票の格差」が問題となっています。こ一票の格差を少しでも解消しようと,国会議員の選挙システムの模索は今もなお続いているのです。

同じ票数を獲得できたとしても,公職選挙法の改正によって選挙のルールが変わることで,当選する人と落選する人が変わる場合があります。特に,今回の改正で比例代表に「特定枠」が設けられたことにより,国民の意思で選べる比例代表が減り,各政党の都合で比例代表の当選者を選び出せるようになったという批判もニュースで取り上げられています。今回の参議院選挙制度の改正により,次回の参議院選挙で各政党が特定枠をどのように利用するかを注意深く見る必要があるのです。

今回の参議院における公職選挙法改正のニュースを通して,少しでも選挙について考える機会を持っていただけたら幸いです。

 

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