選挙に当選した議員って,一体どれくらいの給料がもらえるの?

選挙に当選した議員って,一体どれくらいの給料がもらえるの?

私たちが選挙で選び出す議員。議員の給料っていったいどのくらいなのでしょうか?議員の給料はどのように定められているのでしょうか?

議員の給料はどうやって決められている?

議員がもらえる給料のことを,「議員報酬」といいます。特に国会議員の議員報酬は,「歳費」と呼ばれています。国会議員の給料である「歳費」は,法律によって定められています。それ以外の地方議員の議員報酬は,各自治体の条例によって定められています。

日本全国で通用する「法律」とは異なり,都道府県や市区町村が定める条例は,その地域でしか通用しません。どの地方自治体も,自分たちの議員報酬は自分たちの自治体独自のルールで定めているのです。そのため,同じ「地方議員」という立場でも,地方議員がもらえる議員報酬の金額は,自治体によってかなり異なっていることが見えてきました。各自治体の議員報酬の差については,後で詳しく見てみましょう。

議員の役割の中で最も大きいのは,法律や条例を定めること。議員の給料は法律や条例で決まっている。このことから,法律や条例を改正することで,議員は自分たちの給料を自分たちで決められる権限を持っているといえます。働いた時間や上司からの評価で給料が決まるようなサラリーマンから見ると,自分で自分の給料が決められるなんて驚きですよね。

議員報酬は,私たちが日々支払っている税金によって賄われています。その税金が,どのくらい議員報酬として支払われているのか,税金を納める者として関心を持っておくのは大切なことなのです。

国会議員の議員報酬は?

国会議員の給料である歳費は,「国会議員の歳費、旅費及び手当等に関する法律」によって定められています。この法律の第1条を見てみましょう。

各議院の議長は二百十七万円を、副議長は百五十八万四千円を、議員は百二十九万四千円を、それぞれ歳費月額として受ける

漢字で書かれていてわかりづらいですね。数字にしてみると,

議長:月額217万円

議員:月額129万円

という,平均的なサラリーマンから見たらとんでもない金額が国会議員に支給されていることが分かります。ちなみに,衆議院と参議院どちらも同じ歳費となっています。

実は,月々の歳費に加えて,国会議員には「期末手当」が支給されます。期末手当とは,サラリーマンにおけるボーナスのような位置づけでしょうか。2018年現在,国会議員の期末手当は年間約600万円。国会議員の期末手当は,平均的なサラリーマンの年収を余裕で超えています。

国会議員に支給される月々の歳費とボーナスを合わせると,国会議員の年収は約2200万円という結果になりました。衆議院議員を最大4年間務めた場合,2200万円×4=8800万円,参議院議員を6年間務めた場合は,2200万円×6=1億3200万円。なんだか,国会議員になりたい気持ちが湧いて来るような数字です。

都道府県議員の議員報酬は?

東京都議会議員の議員報酬は,「東京都議会議員の議員報酬、費用弁償及び期末手当に関する条例」によって定められています。国会議員の歳費を定めた法律同様,第1条および第2条で議員報酬の月額が定められています。

第一条 都議会議員の議員報酬、費用弁償及び期末手当は、この条例の定めるところによる。
(昭三一条例一〇五・平二〇条例九七・一部改正)

第二条 都議会議員の議員報酬の額は、次のとおりとする。ただし、二以上の職にあるときは、額の多い方とする。
議長 月額 百二十七万一千円
副議長 月額 百十四万七千円
委員長 月額 百五万九千円
副委員長 月額 百四万円
議員 月額 百二万二千円

こちらも漢字で書かれていてピンときませんが,議員の場合は月額102万2000円。国会議員からみるとすこし少なくなるものの,サラリーマンからみると恐ろしい金額の給料です。

2013年時点のデータですが,各都道府県議員の給料を比較した面白いサイトを見つけました。(日本☆地域番付 都道府県の議員報酬番付)そこにあったデータを見ながら,各都道府県の議員報酬について見てみましょう。

都道府県ごとの月額議員報酬(2013年時点)

順位 都道府県名 金額(円)
1 東京都 1,022,000
2 京都府 960,000
3 埼玉県 927,000
4 神奈川県 902,100
5 福岡県 890,000
6 千葉県 880,000
7 愛知県 869,500
8 広島県 856,000
9 北海道 850,000
9 岐阜県 850,000
11 兵庫県 840,000
12 静岡県 825,000
13 宮城県 814,800
14 長野県 807,000
15 山口県 789,600
16 栃木県 788,500
17 鹿児島県 780,000
17 富山県 780,000
17 石川県 780,000
17 熊本県 780,000
17 宮崎県 780,000
22 奈良県 778,000
23 大分県 777,000
24 長崎県 770,000
24 新潟県 770,000
26 三重県 765,200
27 群馬県 763,600
28 高知県 760,000
28 徳島県 760,000
28 佐賀県 760,000
28 香川県 760,000
32 青森県 756,600
32 福井県 756,600
34 岡山県 756,000
35 沖縄県 750,000
35 茨城県 750,000
37 福島県 747,000
38 山梨県 746,900
38 和歌山県 746,900
40 山形県 746,000
41 秋田県 741,000
42 愛媛県 738,000
43 岩手県 731,500
44 島根県 722,000
45 鳥取県 719,200
46 滋賀県 672,000
47 大阪府 651,000

ランキングを見ると,東京都が唯一の100万円越えでトップ。大阪府が最下位なのが驚きですね。これは,橋本徹 元大阪府知事が大阪の財政を問題視し,議員報酬の削減を公約に掲げた影響と思われます。それでも,最下位の大阪府議会議員でも,月額の議員報酬が65万円,やはり平均的なサラリーマンよりも恵まれた給料といえます。

みなさんがお住いの都道府県の議員報酬は何位でしたか?

市区町村議員の議員報酬は?

市・区・町・村の4つがすべて存在する東京都。東京都にある自治体の,議員報酬ランキングを見てみましょう。データは,日本☆地域番付 東京都の議員報酬番付 のものをお借りしました。

東京都の各自治体の月額議員報酬(2015年時点)

順位 自治体名 金額(円)
1 江戸川区 621,000
2 足立区 619,000
3 葛飾区 618,000
4 千代田区 616,000
5 練馬区 615,000
6 北区 614,600
7 世田谷区 614,400
8 新宿区 613,000
8 大田区 613,000
10 港区 610,000
11 江東区 608,000
12 中央区 607,000
13 墨田区 606,000
14 品川区 605,000
15 渋谷区 603,900
16 荒川区 601,000
17 板橋区 600,000
18 豊島区 599,200
19 台東区 599,000
20 文京区 596,000
21 杉並区 595,700
22 八王子市 590,000
23 目黒区 586,000
24 中野区 585,200
25 立川市 555,000
26 府中市 550,000
26 武蔵野市 550,000
26 小平市 550,000
26 調布市 550,000
26 三鷹市 550,000
26 町田市 550,000
32 日野市 545,000
33 西東京市 540,000
34 青梅市 530,000
34 昭島市 530,000
36 多摩市 494,500
37 小金井市 490,000
37 国立市 490,000
39 東村山市 485,000
40 東久留米市 480,000
41 国分寺市 470,000
42 狛江市 465,000
43 東大和市 458,000
44 福生市 447,000
45 武蔵村山市 435,000
46 あきる野市 433,000
47 羽村市 430,000
48 稲城市 424,000
49 清瀬市 418,000
50 日の出町 345,000
51 瑞穂町 340,000
52 奥多摩町 300,000
53 檜原村 261,000
54 八丈町 200,000
55 三宅村 180,000
56 小笠原村 176,000
57 神津島村 170,000
57 新島村 170,000
59 御蔵島村 100,000
59 青ヶ島村 100,000

千代田区や中野区のような特別区から,離島の村まである東京都。ランキングを見てみると,議員報酬の幅がかなり広いことが分かりますね。1位の江戸川区は,大阪府議会よりも少し少ない議員報酬。一方で最も少ない青ヶ島村は100,000円という,アルバイトの給料!? と思えてしまうような議員報酬。東京都にある自治体の中でも,23区の議員報酬は比較的高めに設定されています。ちなみに YouthCreate の活動拠点である中野区の議員報酬は,東京23区の中で最下位でした。

東京都の自治体の例を見ると,都道府県議員の議員報酬より少ない傾向が分かりますね。けれども,横浜市(約95万円,2013年度)や神戸市(約93万円,2013年度)のように,都道府県議員の報酬に匹敵するような議員報酬を支払っている市議会も存在します。

各都道府県や各市区町村の議員報酬には,その地域ならではの様々な事情が絡んでいそうですね。もし,自分のお住いの自治体の議会の給料が気になったら,「〇〇市 議員報酬」と検索してみるといいでしょう。議員報酬について定めた条例はインターネットでも閲覧できるケースが多いです。

海外では,議員は給料なしのボランティア!?

どこから聞いた話かは詳しく覚えていませんが,「世界には,議員は名誉職とされ,交通費などの最低限の手当てしかもらえない国がある」という話を聞いたことがあります。

「外国では,ボランティアで議員をしているところもあるんだから,日本の議員もボランティアにすべき」という主張を見かけることもあります。けれども外国と日本では,地方行政と地方議会の在り方,国と地方の関係は異なる部分も多いです。日本の議員は「専業」としての議員ですが,海外の地方議員には,自営業や本業のかたわらで議員活動を行っている人もいると聞いたことがあります。

収入も多いけど,議員活動には多くのお金が必要

議員として活動するための経費,専業として議員をする上での生活費を考えると,「日本の議員もボランティアにしろ!」という主張はやや乱暴に思われます。

政治活動する上で必要となる主な費用について見てみましょう。

1.文書通信費:議員としてさまざまなやりとりする上で,郵便料金や電話代,インターネットの費用が必要になります。国会議員の場合,文書通信費として月額100万円が支給されることが「国会議員の歳費、旅費及び手当等に関する法律」の第9条で定められています。

第九条 各議院の議長、副議長及び議員は、公の書類を発送し及び公の性質を有する通信をなす等のため、文書通信交通滞在費として月額百万円を受ける。

2.交通費:国会議員は,国会が開会されているときは東京にいる必要がありますし,自分が選出された地元にもどって有権者の声を聞くなどの活動も必要になります。そこで,地元と東京の交通費が発生します。また,議員の活動として様々な場所や現場に視察に訪れる際も交通費が必要になります。そのため,国会議員には,JRや飛行機の特別なチケットが国の費用で支給されています。

3.秘書給料:国会議員の活動を1人でまわすのは不可能。様々なスケジュールを調整したり,調べものをしたりするのを手伝う「秘書」が必要になります。芸能人でいうと「マネージャー」みたいな存在でしょうか。国会議員は,「公設秘書」という国のお金で雇える秘書を3人まで持つことができます。公設秘書の給料として,国会議員一人当たり,歳費とは別に2000万円前後の手当が支給されています。

文書通信費や交通費,秘書給料以外にも様々な手当てが国会議員には支給されています。ここで,ある疑問が湧いてきます。「国会議員は高額な給料をもらっている上に,それとは別に議員活動に必要な手当て支給されているんだから,議員活動をするための費用は気にしなくていいんじゃないか?」

実は,国から支給される手当てではカバーしきれない政治活動費はたくさんあります。

公設秘書は3人雇えると書きましたが,3人で秘書の仕事をすべてこなすのは難しいことが多いようです。そのため,議員自身がお金を出して「私設秘書」を雇っているケースが多いのです。それだけでなく,選挙活動のためのお金も必要になります。今は議員でいられたとしても,次の選挙で当選してまた議員でいられるかはわかりません。そして,選挙の公正を期すために,議員の選挙費用は国から支給されるわけではありません。また,選挙のために事務所やスタッフも必要になります。そのような選挙に関する費用は,議員が自腹で負担しなければなりません。

月額100万円を超える国会議員の報酬である歳費。サラリーマンなら,もらった給料は自由に使えます。国会議員の場合は,歳費から様々な費用を差し引いて残った金額が,自分の好きに使えるお金となるのです。

「政治とお金」をチェックするのは私たち有権者の役目

税金から払われる議員報酬が果たして適正な金額なのか,議員はその報酬に見合った活動を行い,報酬に見合った成果を上げているのかをチェックするのは私たち市民の役割です。

普通の庶民の感覚からするととてつもない金額の議員報酬。一方で,議員が政治活動する上ではお金が必要。「政治とお金」の関係にダークな部分がないかどうかは,議員の収入と支出の両面をみて判断する必要があります。

「民主主義」「国民が主権者」とはいえ,私たちそれぞれには仕事ややるべきことがあり,なかなか政治活動をする余裕もありません。そのため,そういった政治活動を自分たちの代わりにやってくれる人々が議員の人々であると捉えることもできます。私たち市民の一人一人が行政に目を光らして,日ごろから政治に関心を持って活動や発信をすれば,議員の人々の負担が減り,議員のボランティア化や報酬の削減も可能になるのかもしれません。

選挙とは,誰に議員報酬を渡すかを選ぶこと

市民一人一人が行政を監視し政治について考える「政治家」という意識を持つことができれば,高額な報酬を得ている議員という特権的な人々は必要なくなるのかもしれません。そんな政治を実現できるのが理想ですが,やはり現実にも目を向けなくてはいけません。

平均的なサラリーマンよりはるかに高額の議員報酬をもらっている,国会議員や都道府県議員。彼ら一人一人が本当にその報酬に見合った活動をしているか?法律や条例により,自分たちの給料を自分たちで決めることができるなど,さまざまな特権を持つ議員。その報酬と特権を与えるのにふさわしいかどうかは,やはり「選挙」を通じて判断するしかありません。

議員にも特権がある一方で,市民の側にも,誰を議員にして誰を落選させるか選挙でえらべるという「特権」があります。議員になれるかどうかは,市民に信頼されて票を集めらるかどうかにかかっています。私たちが日々支払う税金が議員報酬をとして無駄にされることがないよう,地方選挙か国政選挙どちらも必ず投票するように心がけたいですね。

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

次の選挙が待ち遠しくなる!講座

ハンドブック「子育てと政治をつないだら」

登壇情報
イベント情報

2017年度活動報告書

総務大臣表彰受賞

おすすめコンテンツ

NPO法人YouthCreate代表原田が政治倫理の確立及び選挙制度に関する特別­委員会にて18歳選挙権に関しての参考人として呼ばれました。 その際の冒頭の15分間の意見陳述の様子です。
若者と地方議員の交流会「VotersCafe」のPR映像です。
Powerd by WordPress & BizVektor Theme by Vektor,Inc. technology.